抄録
不測の事態である災害は,事前に最適な対応を検討することが困難であることから,人的被害の最小化を実現するためには,単一の想定シナリオに縛られることのない臨機応変な対応が求められる.本研究では,この課題に向けて,市町村職員による避難誘導を主とした防災機関の水害時の対応判断に関する演習を行うためのシステムを開発している.このシステムは,水害時の地域状況を総合的に表現するシミュレーションモデルを基本としており,多様なシナリオに基づく被災時の状況や防災対応を仮想的に体験することができる.また,複数の機関が同時並行で活動する状況を表現できることに加えて,その活動による結果を人的被害規模などの指標によって具体的に評価できる特徴を持つ.