抄録
日本には,膨大な数の石積擁壁が存在し,過去の地震において沈下,滑動,はらみ出しなどの被害が生じている.鉄道や宅地などに存在する石積擁壁は,専門職の技能と経験によって伝統的に構築されたものであり,今日も供用されている.しかしながら,その耐震性能については未解明な部分が多いのが現状である.各機関では石積擁壁の安定性を向上させるために種々の対策を講じており,その一例として,地山補強材を用いて補強を行う場合がある.本研究では,地山補強材を用いた場合の模型振動台実験を対象に,不連続変形法による挙動解析を行い,破壊メカニズム,及び補強効果を解析的に再現し,解析手法の有用性を確認した.