2018 年 74 巻 2 号 p. I_53-I_62
本研究では,インドネシアと日本の内陸地域に居住する大学生を対象とし,防災意識と防災活動の実態を把握すると共に,若年層の災害対策に関する課題を,国別で検討した.その結果,日本の学生は災害が起きるかもしれないという予期不安が高い割には,防災活動を行っていないという実態が確認できた.彼らは,防災教育を幼少期から受講していることから,知識は充分と考えられるが,災害発生時を想定した救助活動などの具体的な行動力に欠けていることがわかった.一方で,インドネシアの学生は,災害が起こるかもしれないという予期不安はほとんどなく,楽観的な傾向がみられた.その要因として,避難行動計画や避難持ち出し品の準備などはほとんどの人が行なっていたため,準備をしたことで安心感のほうが不安感より勝っていることが考えられる.そのため,インドネシアでは,準備段階の次のステップとして,避難シミュレーションなどの訓練の実施が重要課題といえる.