2019 年 75 巻 1 号 p. 12-30
高速道路において,降雨に伴う斜面災害に対する道路利用者の安全を確保するためには,斜面災害の予測とその予測結果に基づく適切な通行規制の実施が重要となる.本研究では,1)通行規制の実施前に斜面災害が発生するリスク,2)通行規制の実施後に斜面災害が発生しないリスク,の双方を考慮した通行規制基準値の設定方法を提案する.具体的には,過去の斜面災害履歴と素因情報および誘因情報を用いて,斜面災害と降雨の発生確率を統計的にモデル化する.さらに,同モデルを用いて上記2種類のリスクを定量化し,2種類のリスクの総和を最小にするような最適通行規制基準値設定モデルを提案する.最後に,実在する高速道路区間における斜面災害履歴,降雨履歴を用いた適用事例を通して,本研究で提案する方法論の有用性を検証する.