抄録
TAVI 術後廃用症候群を呈しリハ目的にて当院回復期病棟に入院するも,せん妄と認知症が混在しており,症例に対して受動的に行われる介助や処置により苦痛経験を重ねたことで,職員に対し恐怖心を抱き攻撃的となり介入困難な症例を経験した.受動的な介入や苦痛経験を可能な限り減らし信頼関係構築に向け職員全体で統一した関わりを行い,症例の主体的側面が発揮されやすいトイレの訴えを繰り返し解決したことで徐々に暴力行為は減少した.結果,症例にとって病棟が安心・安全な場となり更衣やトイレ,歩行の介助に対し拒否が軽減した.認知症やせん妄を持つ症例に対し,本人から動き出すという主体性を大切にした関わりの重要性が示唆された.