2020 年 76 巻 2 号 p. I_63-I_74
近年,水害教育の重要性が高まっているが,教育内容の議論が盛んに行われる一方で,学校現場の教員からは,授業内容や制度上の点から,その実施の難しさも指摘される.このような状況を踏まえ,本研究では,授業内容だけでなく,授業の実施方法の視点から,どのような改善が可能であるか,水害教育の教材開発とモデル校における実践を通じて検討を行った.事前評価から,水害教育を実施する上で改善が必要と考えられる8項目が確認され,それらを考慮した教材開発を行った.授業を実施した教員からは,特に学習指導・発問計画や補助教材に対して,授業の円滑な実施や児童の関心を高める上で効果的であった点が指摘され,教員の授業実施や児童の理解を支援する教材や手法の開発の重要性が確認された.