2020 年 76 巻 2 号 p. I_75-I_80
滋賀県近江八幡市立馬淵小学校では,河川の環境と防災を融合した体験型学習プログラムが4年生を対象に2009年度より実施されている.同学習効果を検証するため,著者らは学習前後の児童と児童の進学先中学校の生徒に対してアンケート調査を実施した.分析の結果,短期的な学習効果として,避難経路と地域の危険箇所,避難のタイミング,避難方法,地域の河川の特徴や河川改修の歴史について学習効果が見られた.さらに,長期的な学習効果として,ハザードマップの閲覧や河川水位情報の確認など水害リスクの認知,避難情報の発令認識,実際の避難行動について馬淵小学校出身の生徒は他校出身の生徒よりも防災意識が高かった.川での体験や主体的に考えるプロセスが地域の防災活動,近年の水害状況の影響も受け,学習効果を持続させていることが示唆される.