2020 年 76 巻 2 号 p. I_9-I_17
本研究は,大規模災害の発生により寸断された道路の段階的な復旧計画を提案するものである.計画は2段階とし,まず重要度が高いあるいは早期の復旧が可能な区域に関する施設間のアクセシビリティの改善に資する道路を,次に復旧に時間を要する区域を含めた道路のうち,優先的に復旧すべきものを選定する.ケーススタディ地域とする高知県宿毛市では,近年発生確率が高まっている南海トラフ地震による大規模な道路寸断の他,市内中心部の長期的浸水が懸念されている.この区域を「復旧に時間を要する区域」として提案計画を適用した結果,全ての道路を復旧しなくとも第1段階の目標を達成し,第2段階に遷移できることが確認できた.さらに,段階的な復旧を考慮しない計画と比較して,早期に重要度が高い施設間のアクセス性を高めることが可能なことが示された.