2021 年 77 巻 2 号 p. I_12-I_21
戦後の労働災害発生件数は,現在,ピーク時の1割程度に減少している.建設業における労働災害分析は,単純線形モデルである直線的分析法で行われてきたが,労働災害発生数が減少してきた現在,Safety-IIの考え方による新しい取組みが求められる.本研究では,建設業における墜落災害を,非線形モデルであるFRAM(機能共鳴解析手法)による原因分析を試みた.その結果,災害の原因はこれまでの直線的分析方法で得られる原因だけでなく,通常は見過ごしてしまうパフォーマンスの中に,災害の原因となるものが複数存在し,それが影響し合うことで災害に至ることがあることがFRAMにより可視化された.災害防止は,FRAMにより災害の予兆を見つけ対処していくことで可能になることを示した.