土木学会論文集F6(安全問題)
Online ISSN : 2185-6621
ISSN-L : 2185-6621
特集号(和文論文)
2次的内水氾濫の発生とその防災・減災対策の課題
前中 裕貴田中 耕司山口 行一竹之内 健介東 良慶玉木 秀幸西澤 諒亮
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2021 年 77 巻 2 号 p. I_123-I_133

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抄録

 平成29年10月台風21号は紀伊半島南部に豪雨をもたらし,新宮川の外水氾濫は起きなかったものの,洪水流出,下流部堤内地の降雨および潮位,それぞれのピークが同時に発生したために,約1,100世帯が,内水氾濫によって浸水被害を受けた.本研究は,この支川の堤内地の内水氾濫をもたらした本川・支川の水文・水理的な特徴から本支川および堤内地の浸水をもたらした要因を明確にするとともに,その要因から避難体制を含めた防災・減災対策を提案することを目的にしている.まず,水文水理資料から内水氾濫の要因を解明し,当時の被災者へのアンケート調査から被害の実態を整理した.さらに,詳細な被害を推計するための建築様式別の家財被害推計モデルを作成した.その結果から,対象とする台風での被害額を推計するとともに,減災対策をしたときの家財被害軽減効果を確認した.また,過去の洪水被害の状況を推計し,減災対策により被害が減少することが明らかになった.この成果から,対象にした地区への減災対策を推進するために必要な事業効果を示すことが可能となることが期待される.

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