2021 年 77 巻 2 号 p. I_65-I_73
地震などによって突発的に災害が発生した場合,被災地域の自治体や建設事業者は応急復旧対応によりできるだけ早く施設の機能を回復するように求められる.本研究では,建設事業者の被災程度および事業者が立地する地域の被災状況を踏まえて,応急復旧における初期対応の迅速化に資する知見を得ることを目的として,地域建設事業者を対象とした熊本地震後の応急復旧対応に関するアンケート調査結果を活用した.アンケートには被害や地震動が比較的大きくなかった地域に所在する建設事業者からの回答も得られている.アンケート記録に統計的手法を適用して建設事業者が立地する地域の震度と応急復旧対応との関連を抽出した.人員のひっ迫,情報の錯綜,自主判断での作業などが建設事業者の立地や,所在地における前震および本震の震度と関連付けられることを示し,その背景について分析した.