2021 年 77 巻 2 号 p. I_84-I_90
2016年の熊本地震は震度7を観測し甚大な被害をもたらした.大地震後,ライフラインが途絶し,日常生活は支障をきたすが,その際に自然資源を活用し,災害レジリエンスを向上させることが期待される.これをグリーンレジリエンス(GR)と定義し,南阿蘇両併地区(農村部)と熊本市北区椿ヶ丘地区(都市部)を対象にGRの実態と重要性をアンケート調査により明らかにした.
水と食料の活用に差異がみられた.水について,都市部は,避難所や給水車からの水の利用が顕著であり水に困窮していたが,農村部は湧水を活用し水に困窮していない.食料について,都市部は避難所や外部支援に頼る傾向にあるが,農村部は,各世帯に十分な備蓄があり,それらを活用している.農村部は自然資源のポテンシャル・活用力が高く,地域の災害レジリエンスは高いといえる.