土木学会論文集F6(安全問題)
Online ISSN : 2185-6621
ISSN-L : 2185-6621
特集号(和文論文)
熊本地震発生後の自然資源を活用したレジリエンスの向上に関する研究
平岡 和真寺村 淳田浦 扶充子大津 耕太島谷 幸宏
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2021 年 77 巻 2 号 p. I_84-I_90

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抄録

 2016年の熊本地震は震度7を観測し甚大な被害をもたらした.大地震後,ライフラインが途絶し,日常生活は支障をきたすが,その際に自然資源を活用し,災害レジリエンスを向上させることが期待される.これをグリーンレジリエンス(GR)と定義し,南阿蘇両併地区(農村部)と熊本市北区椿ヶ丘地区(都市部)を対象にGRの実態と重要性をアンケート調査により明らかにした.

 水と食料の活用に差異がみられた.水について,都市部は,避難所や給水車からの水の利用が顕著であり水に困窮していたが,農村部は湧水を活用し水に困窮していない.食料について,都市部は避難所や外部支援に頼る傾向にあるが,農村部は,各世帯に十分な備蓄があり,それらを活用している.農村部は自然資源のポテンシャル・活用力が高く,地域の災害レジリエンスは高いといえる.

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