2013 年 69 巻 1 号 p. 10-28
本論文では,事前補強ケーブルボルトの作用効果の概念を提示し,この概念の正当性を現地試験により検証した結果について報告する.現地試験では,亀裂性地山の大断面トンネルにおいて,天端崩落を防止するための事前補強ケーブルボルトを施工し,拡幅掘削後に施工するロックボルトに替わる機能を持たせた.ケーブルボルトはロックボルトに比べて軸剛性や付着力が小さいことから,軸力がケーブルボルト全体に分散しやすく,比較的均等な軸力が発生する.さらに,ケーブルボルトと地山との付着力の違いによって,ケーブルボルトの作用効果のメカニズムが異なり,そのメカニズムは3つのタイプに分類できることを示した.