抄録
トンネルを合理的かつ経済的に掘削するため, 事前に地山状態を的確に把握することが重要である. とくに, 広域に熱水変質を受けた地山の劣化状況把握には, 多大な労力とコストを要するため, 効果的に効率良く評価できる調査技術が必要である. 本研究は, 熱水による地山の劣化状態を把握するため空中磁気探査および最大土被り厚が150mあるトンネルズリを用いた岩石磁気調査を実施し地山状況と比較を行い磁気探査がトンネル地山調査に有効かを検討した. 調査の結果, 地山が熱水の影響を強く受けた区間の岩盤は, 強変質や弱変質に急激に変化しており, ズリの岩石磁気調査ではその急激な変化を捉えていた. 空中磁気探査は, 急激な岩盤の変質状況の把握は困難であったが, 磁化の強い新鮮な岩石と変質岩石の各区間の分布の概略はトンネル計画深度でも良く捉えていた.