2013 年 69 巻 3 号 p. I_11-I_19
極端に悪い地山条件におけるトンネル掘削では, 数値解析による検討が行われる場合が多い. この数値解析では, 地山の破壊を考慮した検討が必要不可欠であるが, 多くの地山がポストピーク特性においてひずみ軟化を伴った脆性的な挙動を示すにも関わらず, 完全塑性体と仮定した数値解析モデルが多用されているのが現状である. 本研究では, ポストピーク特性においてひずみ軟化を示す数値解析モデルを用いて, トンネル掘削における地山の挙動を検討した. その結果, トンネル掘削の影響による破壊領域は, 完全塑性モデルを使った場合と比較してひずみ軟化モデルを使用した場合の方が大きく, その広がりは地山の脆性度に依存することが分かった. また, 山はねのような不安定な破壊に関して, ひずみ軟化モデルを使用することでそのメカニズムが検討できる可能性があること等が分かった.