抄録
近年,トンネル施工時の安全性や経済性を考慮した新工法としてシールドを用いた場所打ち支保システムが開発されており鉄道分野で施工事例が増えつつある.北海道新幹線,津軽蓬田トンネル(L=6, 190m)では,均質な砂質地盤を本工法により掘削したが,一次覆工コンクリートに主に横断方向のひび割れが発生し,漏水を伴っていた.これをできる限り少なくして漏水量を低減させることが,トンネルライフサイクルコストの低減上重要と考え,ひび割れの抑制に主眼を置き,その要因を統計的に分析する.ひび割れ状況については,近年研究がなされているTCI(tunnel-lining crack index)により発生量,方向性を考慮した定量化を行う.またラフ集合理論を用いて複合的な要因分析と閾値によるルール抽出を行い,ひび割れ抑制のための基準の目安を提案する.