土木学会論文集F1(トンネル工学)
Online ISSN : 2185-6575
ISSN-L : 2185-6575
70 巻, 1 号
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和文論文
  • 保田 尚俊, 塚田 和彦, 朝倉 俊弘
    2014 年 70 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/20
    ジャーナル フリー
     山岳トンネルの地震被害メカニズムを理解するための基礎として,調和振動の平面波がトンネル軸に対して斜めに入射した場合の円形トンネルの変形挙動を3次元弾性波動論に基づいて解析した.地震波で想定される周波数範囲では,トンネル横断方向の挙動は地盤と覆工の相対的な剛性の比で決まり,入射波の波長の影響をほとんど受けないが,トンネル縦断方向の挙動は剛性比に加え,入射波のトンネル軸方向に生じる見かけの波長の影響を受ける.そのため,トンネル横断面内に変位成分を持つS波だけでなく,トンネル軸を含む縦断面内に変位成分を持つS波でも被害が生じる可能性があることが明らかとなった.また,実際の被害においてもトンネル軸を含む縦断面内に変位成分を持つS波が被害要因の一つと考えられる事例のあることが確認された.
  • 阿部 玲子, 佐々木 雄紀, 進士 正人
    2014 年 70 巻 1 号 p. 15-25
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/20
    ジャーナル フリー
     スマートフォンを用いたトンネル構内簡易粉じん濃度測定法を, インドの開削現場での明環境下で適用したところいくつかの問題点が生じた。本論文では, 近年トンネル切羽作業監視用として急速に普及しつつあるネットワークカメラを用いて, 従来のスマートフォンによる写真撮影では問題となった背景の影響を動画の時間差分処理により除去するとともに,二値化処理,モルフォロジー処理および領域分割などの画像処理により,高精度な粉じん粒子抽出を実現した. そして,粉じん濃度の特徴量として画面内における粉じん散乱光部分の面積と個数を新たに採用することで, 従来法より安定した粉じん濃度測定法を確立した. 室内実験の結果, 提案手法は従来法と比べて粉じんの抽出性能だけでなく、十分な精度も合わせて有していることを確認した.
  • 小川 淳, 小松原 渉, 土門 剛, 西村 和夫
    2014 年 70 巻 1 号 p. 26-40
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/20
    ジャーナル フリー
     近年,トンネル施工時の安全性や経済性を考慮した新工法としてシールドを用いた場所打ち支保システムが開発されており鉄道分野で施工事例が増えつつある.北海道新幹線,津軽蓬田トンネル(L=6, 190m)では,均質な砂質地盤を本工法により掘削したが,一次覆工コンクリートに主に横断方向のひび割れが発生し,漏水を伴っていた.これをできる限り少なくして漏水量を低減させることが,トンネルライフサイクルコストの低減上重要と考え,ひび割れの抑制に主眼を置き,その要因を統計的に分析する.ひび割れ状況については,近年研究がなされているTCI(tunnel-lining crack index)により発生量,方向性を考慮した定量化を行う.またラフ集合理論を用いて複合的な要因分析と閾値によるルール抽出を行い,ひび割れ抑制のための基準の目安を提案する.
  • 矢萩 秀一, 中村 兵次, 鈴木 久尚
    2014 年 70 巻 1 号 p. 47-66
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/20
    ジャーナル フリー
     シールドトンネル覆工の横断方向の応力計算では,従来から開削工法により築造される地中構造物の応力計算に近い方法が用いられてきた.すなわち,完成した覆工に頂部の鉛直圧力とそれに見合う側圧を作用させて,側部に覆工の変形に対する地盤の抵抗を期待する方法が一般的であった.しかし最近のシールド工事では掘削と覆工の築造をほぼ同時に行うことから,覆工の挙動は従来からの想定とは異なるものになっていると考えられる.こうした観点から,本論文では有限要素法を用いてセグメントリングの応力発生機構を把握するとともに,この応力発生機構に沿った新しい応力計算方法を提案する.なお,本計算方法は,有限要素法を用いて応力発生機構を再現する方法と,この有限要素法を用いる方法に近い値を算出するリングモデルを用いる方法の2方法である.
和文報告
  • 金子 雅廣, 勅使川原 敦, 堤 純生
    2014 年 70 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     数十年前に設計・施工された既設構造物と一体として新設される構造物に対し,現行の設計基準を用いて耐震設計を行うことは可能であるが,一体構造物が有すべき具体的な性能及び評価手法に対する統一された合理的な考え方は未整理である.
     筆者らは既往の実験成果,文献等を検討し,既設構造物側壁および下床版にせん断破壊が生じる場合にあっても,一定の条件下においてこれを考慮し,耐震性能を確認することができる耐震設計手法について検討し,実務に有用な知見を整理した.
     本論文では,設計手法検討に当たっての既往成果の工学的解釈,設計手法の特徴について述べる.
エラータ
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