日本地球化学会年会要旨集
2020年度日本地球化学会第67回年会講演要旨集
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G6 宇宙化学:ダストから惑星、生命へ
火星衛星探査計画(MMX)により回収されるフォボスレゴリス試料の分析プロトコル
*藤谷 渉古川 善博菅原 春菜馬上 謙一Nancy L. Chabot小池 みずほ三浦 弥生Frederic MoynierSara S. Russell橘 省吾高野 淑識臼井 寛裕Michael E. Zolensky
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p. 88-

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抄録

火星衛星探査計画(MMX)は火星衛星フォボスからのサンプルリターン計画であり、2024年に探査機打上げを予定している。本計画では、コアリングおよび空気圧サンプリング機構により表層レゴリス試料を10 g以上回収することを目標としている。試料分析ワーキングチーム(SAWT)は現在、回収試料の分析プロトコルを作成中である。まず、試料の岩石鉱物学的観察、全岩化学組成および同位体組成から、フォボス材料物質の起源に関する情報を得る。フォボス表面で起こるプロセスは、希ガスの同位体比や試料表面の宇宙風化組織の詳細観察によって明らかになる。さらに、放射性核種による年代測定は、フォボス物質の変成作用など重要なイベントに時間的制約を与える。また、フォボスレゴリスには小天体衝突によって火星から放出された物質が少量含まれると予想されている。フォボス表面に存在するであろう火星物質は極めて貴重な試料であり、そうした物質をキュレーションの段階において発見するための手順・方法についても議論を進めている。

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