2018 年 74 巻 1 号 p. 52-57
トンネルの地山分類では,弾性波速度が重要な評価項目の1つとして利用されている.しかしながら,トンネルの掘削前後で計測される弾性波速度が大きく異なる場合があり,その結果,トンネルの地山評価にも大きな違いが生じ,施工時に支保パターンの変更を迫られる場合が少なくないことが指摘されている.本研究では,トンネルの事前調査で得られる物理探査データに岩石物理モデルを適用してモデル化し,掘削前のデータから掘削後の弾性波速度,つまり地山等級を予測する手法について検討を行った.実際に,本手法をトンネルのルート上での事前探査で得られたP波速度と比抵抗データに適用して岩盤をモデル化し,トンネル掘削後のP波速度の低下を予測し,掘削後の地山分類を求めた.その結果,実測の地山分類とも整合する結果が得られた.