2018 年 74 巻 2 号 p. I_1-I_17
山岳トンネルは,坑口部や断層・破砕帯等の特殊な区間を除き,一般に地震に強い構造物とされているが,これまでにも一般部でも覆工の崩落をともなうような比較的規模の大きな被害を受けたトンネルが存在する.一方で,地震による被害事例や実トンネルにおける地震時の計測事例は限られており,山岳トンネルの地震時の挙動は明らかにされていないのが現状である.そこで本研究において,動的計測を行うための加速度計およびひずみ計を実トンネルに設置したところ,最大でトンネル周辺で震度6弱を観測する地震が発生し,地震時の覆工の挙動等のデータが得られた.その結果,地下では地表に比べて揺れ自体が小さいこと,構造物が周辺の地山と一体となって動き震動の増幅がないこと等,経験的に言われる山岳トンネルの地震時挙動を裏付ける知見が得られた.