抄録
早期断面閉合は,リング状に閉合した支保工に軸圧縮力が導入され,周辺地盤に内圧を作用させて変形を抑え,安定性を高める工法である.本論文では,施工事例として31トンネルの支保工耐力にもとづく支保内圧,支保工計測データにもとづく作用土圧を各々圧力として算出し,土被り,地山強度比との相関,閉合距離,一次インバート支保半径比および岩種との傾向分析から,支保構造の特性を明らかにした.そして,早期閉合の支保効果は,閉合距離の短縮と半径比の縮小を地山特性に合わせて設定することにより高めることができること,また,アーチと一次インバートの作用土圧は,双方の間に一定の相関関係があり,これらを考慮することが支保構造の合理化となる目安を示す.