2020 年 76 巻 2 号 p. I_1-I_20
中央導坑先進工法を適用する場合には,本坑切拡げ掘削時の内空変位量や天端沈下量を小さくし,支保部材の発生力を低減する「いなし効果」を期待することが多い.しかしながら,導坑の大きさや支保剛性の違いによる本坑切拡げ掘削後のトンネルの挙動に関する検討は非常に限られている.本稿では,極めて脆弱な地山条件下で中央導坑先進工法により施工を実施した芳ノ元トンネルの挙動を分析し,いなし効果が得られない場合があることを考察するとともに,地山条件や種々のトンネルの構造諸元をパラメーターとした数値解析を実施し,いなし効果が発現する場合の中央導坑に関する設計指標について検討を行った.