抄録
他者との形態上の識別システムであるタグが協調の創発に有効であるかを2×2ゲームにおいて検討した.タグ・システムはRioloら(2001)が提示した実数値のTag,戦略として実数のタグ識別解像度Torを保持し,これらをともに適応させる機構でモデル化した.戦略上AllDを許容するか否かで系の協調率は大きく異なり,Green Beard Effectが存在しないとの立場でAllD戦略を許容するならば,?Rioloらの報告ほどタグによる協調のサポート効果は高くないこと,?ただし,Leaderゲームの領域では解析解に較べて高頻にAlternating Reciprocityを現出させること,?タグを2次元的に導入すると協調サポート効果は向上することを示した.