日本計算工学会論文集
Online ISSN : 1347-8826
ISSN-L : 1344-9443
Moving Least Squares-Smoothed Particle Hydrodynamics法による水中爆発問題の数値解析
(気液界面上における微分不連続性の扱いに対する検討)
橋本 学野口 裕久
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2007 年 2007 巻 p. 20070030

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抄録
水中爆発(underwater explosion, UNDEX)問題では,領域全体での大変形や非均質性が発生するために,従来のメッシュに基づいた方法を用いて解析することはとても難しい.そこで,粒子法の1つであるSmoothed Particle Hydrodynamics (SPH)法が適用され,水中爆発問題への有効性が示されている.しかし,標準的なSPH法には2つの重大な問題点がある.1つ目の問題点は,1次のconsistency条件が満足されないことである.領域境界近傍で粒子が不足することやsupport domain内で粒子の分布が不均一となることが原因で,それは著しい計算精度の悪化につながることがある.2つ目の問題点は,SPH法による水中爆発問題の解析では,気液界面近くで圧力の数値振動が生じることである.これは,気液界面上の速度と圧力の微分不連続性によって引き起こされる.本研究では,SPH法の定式化の関数近似にMLS近似を用いるMoving Least Squares-Smoothed Particle Hydrodynamics (MLS-SPH)法を水中爆発問題に適用する.MLS近似は,Element-free Galerkin (EFG)法のようなメッシュフリー法の関数近似としてよく用いられる.線形な基底関数のMLS近似は,SPH近似では維持されない1次のconsistencyを常に有している.さらに,そのMLS近似に微分不連続性を導入したDiscontinuous-derivative Basis Function (DBF)を用いる.水中爆発問題では,速度の法線成分と圧力は気液界面上で最初不連続であるが,爆轟生成気体の膨張過程開始時に連続となり,その微分値のみが不連続となる.そのため,気液界面上で物理量の微分不連続性を表現可能なDBFを用いたMLS近似を利用することはとても有効であると考えられる.
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© 2007 The Japan Society For Computational Engineering and Science
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