日本計算工学会論文集
Online ISSN : 1347-8826
ISSN-L : 1344-9443
一方向凝固におけるセル状組織形成と応力分布のフェーズフィールドシミュレーション
上原 拓也
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 2009 巻 p. 20090023

詳細
抄録
一方向凝固過程における微視組織形成および応力分布の変化について,二元系合金に対するフェーズフィールドモデルを用いたシミュレーションを行った.結晶核は初期配置として与え,液相領域への成長過程を対象とした計算を行った.その結果,結晶が成長するにつれてセル状の微視組織が形成され,成長先端となる固液界面は波状の形態となることを示した.また,温度条件によっては,隣接するセルの結合が生じ,このときには液滴や液相の溝状の領域が固相内に発生することを示した.次に,このような複雑な微視組織内部の応力分布の解析を行った.ただし本研究では,簡単のため,凝固収縮に伴う弾性的な応力のみを考慮している.この結果,比較的大きな引張り応力が界面領域に発生し,特に液滴や溝部が生じるときには,その周辺に大きな応力集中が見られることを示した.また,相変態の応力依存性を考慮した解析では,それを考慮しない解析とは大きく異なる組織形態が得られることを示した.さらに,機械的特性の組成依存性を考慮することによって,応力分布が大きく影響されることを示した.
著者関連情報
© 2009 The Japan Society For Computational Engineering and Science
前の記事 次の記事
feedback
Top