抄録
金ナノワイヤーを応用利用するにあたり, その力学特性を知ることが重要である. 分子動力学(MD)シミュレーションでは原子スケールの動的な構造変化を取り扱うことができるが, 解析のタイムスケールが厳しく制限されている. 本論文では, より小さいひずみ速度での金ナノワイヤーの力学特性を明らかにするために, 解析時間スケールを延ばすことができるParallel Replica(PR)法を用いた. MDとPR法を用いることで, 広いひずみ速度範囲(1.0×105-1.0×10121/s)で引張変形のシミュレーションを実施し, 変形挙動がひずみ速度に依存して変化することを示した.さらに,遷移状態理論に基づく方法により, 実際的なひずみ速度での降伏ひずみを予測した.