日本計算工学会論文集
Online ISSN : 1347-8826
ISSN-L : 1344-9443
拡張ボクセル有限要素法の開発とその性能評価
車谷 麻緒川瀬 晴香
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2015 年 2015 巻 p. 20150011

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抄録

材料内部のイメージデータから, 直接的に有限要素モデルを作成する方法として, ボクセル有限要素法(イメージベース有限要素法)が代表的である. しかし, この方法は, 細かいボクセルメッシュで幾何形状を表すことから, 材料界面において不要な応力集中や応力振動が生じることに加えて, 計算の負荷や容量が増大するといった問題がある.
本論文では, ボクセルメッシュとエンリッチメントを応用して, コンクリートのような非常に複雑な非均質材料を精度よく解析するための「拡張ボクセル有限要素法」を提案する. 具体的には, ボクセルデータを利用して, 材料界面の数と配置に応じたレベルセットを定義することにより, 任意の幾何形状の認識と積分, および適切な自由度の定義を容易に行える方法を示す. さらに, 材料界面のエンリッチメントを多重に行うことによって, 非常に複雑な非均質材料のモデル化と数値解析が行える方法を示す. 検証例題により, 多重エンリッチメントの必要性と妥当性を示した後, 数値解析例において, 従来のボクセル有限要素法で見られた応力振動や応力集中の問題を回避できることを例示する.
第2節では, 拡張ボクセル有限要素法の定式化と, ボクセルデータを利用したレベルセットの定義, および多重エンリッチメントについて示す. 第3節では, 非均質材料に対する拡張ボクセル有限要素法の解析精度について検証する. 1次元の引張問題を例に, 多重エンリッチメントの必要性と妥当性を示した後, 多次元問題における解析精度を検証する. 第4節では, 非常に複雑な非均質材料を模擬したモデルに対して, 拡張ボクセル有限要素法を適用した際の数値解析例を示す. 第5節では, 本研究の総括と今後の展望を示す.

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© 2015 The Japan Society For Computational Engineering and Science
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