2018 年 2018 巻 p. 20180018
空気力による昆虫翼の弾性変形がいかにしてキャンバーをもたらすかについて,未だに明確でないようである.そこで本研究では,昆虫羽ばたき翼のキャンバー生成における翅脈の力学的役割を解明するために,それらの形状簡略化モデルを提案する.提案モデルにおいては,翅脈をその機能に応じて幾つかの領域に分け,各領域における大域的構成関係を対応するはりによって表す.さらに,翅脈が支える翼膜は長方形のシェルによって表す.キャンバー生成で支配的な空気の動圧によるモデル翼の静的変形を考える.実際の昆虫と整合した設定の提案モデルに,幾何学的非線形性を考慮した有限要素解析を適用する.この結果,昆虫羽ばたき翼のキャンバー生成における翅脈の力学的役割を明らかにする.