日本計算工学会論文集
Online ISSN : 1347-8826
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2018 巻
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  • 池端 昭夫, 清水 友哉, 肖 鋒
    2018 巻 (2018) p. 20180001
    公開日: 2018/01/23
    ジャーナル フリー
    衛生陶器などの住宅設備機器の設計におけるもっとも重要な課題の一つに、節水化が挙げられる。節水商品を設計する際の鍵は、より少ない水量においても十分な洗浄性能を発揮することである。この目的のために、衛生陶器のセラミック表面に十分な洗浄力を持った薄い水膜を供給することが効果的な方法であり、新しい節水商品設計において考慮されるべき点である。他の多くの製造業と同様に、TOTOにおいてもComputer Fluid Dynamics (CFD) 技術は主要なComputer Aided Engineering (CAE) ツールとして新製品の設計や評価に用いられてきている。製品開発プロセスにおける多相流シミュレーションでは、既存の市販CFDソフトウェアを用いても適切な計算精度や計算効率が得られなかったため、ここ数年にわたり自社製CFDコードの開発を進めてきた。以前のバージョンでは直交格子計算手法およびGeneral Purpose Graphic Processor Unit (GPGPU) や Message Passing Interface (MPI) 並列計算などのHigh Performance Computing (HPC) 技術を利用していた。しかしながら、GPGPUスーパーコンピュータ上での1億メッシュ以上の格子を用いた高解像度シミュレーションにおいても、直交格子計算手法では衛生陶器の曲面表面の薄膜流れを十分な精度で計算できないことが分かった。
    この直交格子の欠点を克服するため、本論文では衛生陶器における気液二相流をシミュレートする新しい非構造格子数値計算モデルを提案する。衛生陶器製品の曲面表面における薄膜流れを精度良く解くために、Volume/Surface-Integrated Average based Multi-Moment Method (VSIAM3) およびSurface Tracking by Artificial Anti-diffusion (STAA) 法を非構造格子に拡張した。この手法により、数値計算モデルにおいて複雑な形状における気液二相流れを高精度にシミュレートすることが可能となる。VSIAM3では、二種類のモーメント値、すなわちVolume Integrated Average (VIA=体積積分平均値) およびSurface Integrated Average (SIA=面積分平均値) を利用することで、従来のTVD法のような空間線形補間とは異なる、より高次精度の空間補間再構築を実現している。非構造格子の各面における数値フラックスの計算のために、面の法線方向に一次元の補間関数を再構築することで、VSIAM3アルゴリズムは容易に任意多面体非構造格子に拡張できる。一方STAA法においては、気液界面の法線方向への人工的な反数値拡散フラックスにより流体率を補正することで、界面の幾何的誤差を生じることなく界面近傍の数値拡散を抑制する簡易なアルゴリズムを構築した。界面の幾何的情報はレベルセット関数から得られ、レベルセット関数は流体率から生成される。ベンチマークテストにおける数値計算結果では、VSIAM3およびSTAA法ともに市販ソフトやオープンソースコードで広く用いられている既存手法よりも優れた精度が得られている。VSIAM3およびSTAA法を移流計算および気液界面捕獲ソルバーに用い、非構造格子におけるフラクショナルステップ法に基づいた多相流解法のための数値計算フレームワークを構築した。
    我々の数値計算コードは、最新のコンピュータハードウェア技術を最大限利用するためにHPC環境に移植された。この数値計算フレームワークのアルゴリズムの簡易性により、GPGPUアクセラレーションやMPI並列計算への実装は極めて容易である。我々は衛生陶器製品における複雑流路の非構造格子モデルを用いて計算効率のテストを実施した。本テストにより、一般的なPCクラスタにおいて、GPGPU加速率および並列計算スケーラビリティの両方において新しく開発されたコードは十分な性能を発揮することが分かった。ベンチマークテストの結果では、薄膜流れや飛沫および気泡の複雑な動きを再現できた。衛生陶器の実製品条件における検証では、以前の構造格子のときよりも大幅に少ない非構造格子数において製品表面の薄膜流れの動きが適切にシミュレーションできるようになった。
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  • 真鍋 圭司
    2018 巻 (2018) p. 20180002
    公開日: 2018/01/23
    ジャーナル フリー
    板の曲げ問題は工学的に重要な問題であり, 有限要素法によって板の曲げ変形を解析する手法はさまざまなものが開発されてきた. 中でも, ミンドリン板要素は, 面外せん断変形を考慮するため, 板厚が比較的厚い問題も取り扱うことができるなどの利点がある.
    ミンドリン板の有限要素解析においては, たわみと回転角を未知数とした解析を行う. しかしながら, 板厚が小さいときに, 面外せん断剛性が曲げ剛性に比べて過大になるという, せん断ロッキングが問題となる. すなわち, ミンドリン板解析において薄板の曲げ解析を行う場合には, 特別な工夫が必要である. その解決法として例えば, 面外せん断の部分を選択して積分点を少なくする選択低減積分の手法や, 面外せん断に対して異なった補間を行う手法が開発されてきた. このようにせん断ロッキングは, 曲げとせん断の部分に対して, 別の処理を行うことが必要である.
    ところで, 流体問題における有限要素法による解析では, GLS (Galerkin Least Square:ガラーキン最小自乗法) という手法が成功を収めている. それは, 流体解析において生じる上流化の問題や, 非圧縮性の問題を解決するために, 支配方程式の自乗形式を安定化項として汎関数に追加することによって精度のよい解析を実現するものである. この手法では, 節点の変数としてラグランジュ乗数が追加される混合型の有限要素法となる. そしてラグランジュ乗数を含む, すべての未知数に対して同じ形状関数(補間関数)を使用することができる. 従って, 三角形1次要素 (P1要素) や, 四辺形双一次要素 (Q1要素) を使用することができる.
    三角形要素においては自動要素分割法が確立している. たとえばデローニ自動分割法はその代表である. これを用いれば, 複雑な形状のモデルでもメッシュ作成が簡単にできる. ミンドリン板の解析においても1次の三角形要素を使用することができれば, 要素分割の際に有利である. そこで本報告では, 計算流体工学の分野で成功を収めているGLSの手法を, ミンドリン板の解析に応用する. そして, ミンドリン板の変形に関して, 曲げと面外せん断の部分に対して, 別の処理を行うことなく, せん断ロッキングを回避することを目的とする.
    本報告においては, ミンドリン板の変形問題に対して, 混合型の汎関数を導いた. 通常のミンドリン板の解析の汎関数は, 曲げと面外せん断に関してエネルギー関数を定義し, z-変位と, 回転角を未知数とする. すなわち変位法である. ここでは, 胡-鷲津 (Hu-Washizu) の原理により, 面外せん断ひずみの関係式をラグランジュ乗数によって外す. さらに, ヘリンガー-ライスナー (Hellinger-Reissner) の原理を用いて, 補足せん断ひずみエネルギーを導入し, せん断ひずみを消去して新しい汎関数を考える. この汎関数は未知数が変位と, さらに面外せん断応力を追加した混合型となる.
    そのようにして導かれた汎関数が停留するための条件から, オイラー方程式を導いた. その最小自乗の項を考え, GLS安定化項として汎関数に加えて定式化した.
    計算例として周囲固定の円板に, 等分布荷重を作用させる場合の問題を取り上げた. 有限要素モデルは, デローニ自動要素分割法によって作成した. すなわち, 直径 200 mm の円板に対して, 粗, 中, 細の3種類の要素分割モデルを三角形および四辺形によって作成した. そのモデルの板厚tが 10, 5, 1 mm の場合について, 等分布荷重による変形解析を行った.
    まず通常の変位型定式化のミンドリン板の解析を行ったが、せん断ロッキングのため非常に精度が悪い結果が得られ、GLS項の必要性が確認された。そこで混合型定式化を用い, GLSの安定化パラメータをさまざまに変化させ, 円板の中心部の最大たわみについて, 計算結果を理論解と比較した. その結果, 板厚が薄い場合はせん断ロッキングが生じるが, 安定化パラメータをある程度大きくすれば, せん断ロッキングが解消されることが明らかになった.
    そして, 板厚が薄い場合 (t=1mm) について, 円板の内部の節点のたわみや, 要素の曲げモーメント分布を, 薄板の解析解と比較することによって, GLSの精度について検証した. その結果, 中ぐらいの粗さの要素分割においても, 三角形, 四辺形要素の両方において解析解とほぼ同じ値を得ることができた.
    以上のことから三角形, 四辺形要素の両方において, GLS有限要素法はせん断ロッキングを回避するために有効であることが明らかになった.
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  • 池田 義人, 遠藤 龍司, 登坂 宣好
    2018 巻 (2018) p. 20180003
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー
    建築構造物の耐震性能を評価するための構造ヘルスモニタリングは重要である. 筆者らは, フィルタを逆解析アルゴリズムに援用した手法を提案しており, フレームモデルを対象に各層の剛性を状態量, 固有振動数を観測量とした逆解析結果を報告してきた. このときの観測量は, 状態量の数と同一の次数に対応する高次の振動モードまでを用いてきた. 例えば, 実験モデルとして作製したフレームモデルでは, 3層フレーモデルなら3次モードまで, 5層フレームモデルなら5次モードまでの固有振動数を励起させることで, 観測量として採用してきたものの, 現実の構造物を対象とした場合には, 高次モードまでの固有振動数を観測できる可能性は極めて小さい. しかし, 逆解析の精度を保つためには, 未知数である状態量の数と観測量の数が一致することが望ましい.
    そこで, 本研究では, 3層フレームモデルおよび5層フレームモデルを対象として, 1次振動モードから得られるモード形の情報と固有振動数を観測量として, すべての層の水平剛性を同定する手法を提案する. なお, 本逆解析で採用するフィルタは, 状態量と観測量の数が等しいとき, 感度行列のみで表現できる射影フィルタである. これにより, 本逆解析手法の有効性および特性に関して, 感度行列に着目した検証を行うことにする.
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