日本計算工学会論文集
Online ISSN : 1347-8826
ISSN-L : 1344-9443
フェーズフィールド法によるコンクリートのメゾスケールモデルの作成とその数値実験への適用
車谷 麻緒加藤 匠村松 眞由
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2020 年 2020 巻 p. 20200008

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抄録

コンクリートに形成するひび割れは,材料としての強度特性に加えて,構造物の耐久性にも関係する重要な因子であるため,粗骨材がコンクリートに及ぼす影響を定量的に把握しておく必要がある.しかし,粗骨材の形状と分布を反映したコンクリートの3次元モデルを作成することが容易ではないため,メゾスケールにおけるコンクリートの3次元破壊シミュレーションを実施することができない.そこで本研究では,粗骨材の形状と分布を再現したコンクリートの3次元メゾスケールモデルの作成手法を提案する.具体的は,主に材料科学の分野において,材料の組織形成シミュレーションの手法として知られるフェーズフィールド法を応用することで,粗骨材の3次元形状をいくつでも自動生成可能とし,それらを3次元空間内にランダムに配置することで,疑似的にコンクリートの3次元メゾスケールモデルを作成する方法である.はじめに,フェーズフィールド解析により粗骨材の形状データを構成する方法と,それらを3次元空間内に配置する方法と手順について述べる.次に,実際のコンクリート断面との比較により,提案手法の妥当性を検証する.最後に,既存の解析手法を用いて,3次元破壊シミュレーションを行った例を示し,提案手法により作成されるメゾスケールモデルはコンクリートの数値実験に適用可能であることを例示する.

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© 2020 The Japan Society For Computational Engineering and Science
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