2021 年 2021 巻 p. 20210016
本研究では、離散式が物理的健全性を持つ高粘性非圧縮粒子法(MPH-I法)を高速化する新しい陰的解法を提案した。MPH-I法は、成形シミュレーションなど高圧下でも圧縮を抑えて計算する必要がある問題で有用である。ここでは、圧力方程式を運動方程式に代入することで、MPH-I法の行列方程式の未知数を減らすとともに、係数行列を正定値対称化することで、数学的に同一な計算を効率よく実行できるようにした。計算時間を、既存のMPH法である微圧縮粒子法などと比較し、粘性に関する拡散係数が大きい場合に提案手法が有効であることを示した。また、成形プロセスを模擬した計算により、高圧が負荷される場合であっても圧縮を抑えて計算できることを示した。