日本計算工学会論文集
Online ISSN : 1347-8826
ISSN-L : 1344-9443
塑性ひずみ範囲の依存性を考慮した硬化則を用いた弾塑性モデルのための主双対内点法による陰的解法
新宅 勇一中村 文俊堤 成一郎寺田 賢二郎
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2022 年 2022 巻 p. 20220001

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抄録

本研究では,塑性ひずみ範囲への依存性をMemory surfaceにより表現することができる硬化則を用いた弾塑性モデルについて,主双対内点法およびリターンマッピングアルゴリズムを組み合わることで安定的に求解可能な陰的解法を提案する.主双対内点法を用いることによって,降伏関数やMemory surfaceのような不等式制約条件付きの最小化問題を連続的に最適化可能となる.具体的には,スラック変数を導入することで不等式制約条件を等式制約に置き換えたうえで,パス追跡法によって双対ギャップを徐々にゼロに近づけることで最適化する.一方,主双対内点法は通常のリターンマッピングアルゴリズムよりも未知変数が増加するため,計算コストが大きなる.そこで,Memory surfaceを用いた弾塑性モデルのために,主双対内点法およびリターンマッピングアルゴリズムを組み合わせた陰的解法を提案する.まず,通常の等方硬化則のみを考慮した弾塑性モデルの降伏関数に対して,主双対内点法およびリターンマッピングアルゴリズムを適用した場合の精度および収束性について比較したうえで,Memory surfaceを用いた弾塑性モデルに対して最も有効な数値解析手法について検討する.最後に,異なる塑性ひずみ範囲の繰り返し載荷を受けるノッチ付き丸棒試験片の有限要素解析を通して,Memory surfaceを用いた弾塑性モデルの陰的解法として提案手法の有用性を示す.

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© 2021 The Japan Society For Computational Engineering and Science
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