2022 年 2022 巻 p. 20220005
近年,数値シミュレーションの品質と信頼性を保証するための取り組みが重要視されており,米国機械学会(ASME)では,V&V(Verification and Validation:検証と妥当性確認)とよばれる数値シミュレーションの品質と信頼性を保証するための方法が示されている.しかし,コンクリートの特徴である破壊や局所化を含む非線形問題では,検証と妥当性確認のそれぞれにおいて課題があるため,V&Vを具体的に実施した事例は見当たらない.そこで本論文では,コンクリートの非線形有限要素解析に対して,検証と妥当性確認を具体的に行った一例を示す.解析対象は切欠きを有するコンクリートはりの3点曲げ問題とし,計算モデルは損傷モデルを用いた非線形有限要素解析とする.また,非線形有限要素解析の計算コストが高い場合に,計算コストの低い代替モデルを用いて妥当性確認を行う方法についても検討する.