2022 年 2022 巻 p. 20220007
熱伝導問題に対するトポロジー最適化の分野では,理論的な扱いやすさから,大抵は定常熱伝導問題を仮定している.しかし,鋳造金型や電子機器の放熱部品など,温度の空間分布だけでなく,その時間的推移も重要な設計問題では,非定常状態を考慮したトポロジー最適化手法が必要となる.このような背景から,本研究では,非定常熱伝導問題を扱いながら,目標とする時間・空間における温度を評価するような特殊な目的関数を用い,これを最小化する最適化問題を設定する.この最適化問題を,勾配情報に基づいた最適化アルゴリズムを用いて解く.またその際重要となる感度の精度検証を行う.最後に,提案手法の性能と非定常熱問題の一般的な問題について,一連の数値例を通して議論する.