2022 年 2022 巻 p. 20220013
不確かさ定量化とは、システムの入力パラメータの不確実性がその出力に及ぼす確率的な影響を評価することである。不確かさ定量化法の統計学的アプローチとして、Monte Carlo法がよく知られているが,収束が遅いという問題点がある。一方、非統計的アプローチでは、入出力の確率場をそれぞれ確率空間上の関数として展開するため、高い計算効率と精度を持つ。本論文では、非統計手法の一つであるNIPC(Non-Intrusive Polynomial Chaos)法を、有限要素法に基づく並列熱伝導解析ツールADVENTURE_Thermalと統合し、熱伝導率を確率場とする定常熱伝導方程式を解くことで、不確定性を有する熱伝導問題を求解する。この問題に対して、提案手法の計算量を理論的・数値的に評価し、問題の大規模化に伴うボトルネックとなるプロセスを明らかにする。さらに、ボトルネックとなるプロセスの計算量を削減することで、より大規模な問題に適用可能な新しい手法を提案する。