1999 年 2 巻 4 号 p. 391-397
当救急医療センターは,開設後26年の応急診療所と開設後13年の三次救命救急センターからなり,両組織は財政と人事の面では別組織として運営されている。応急診療所の総受診患者数は545,026人(年平均は20,963人)であった。二次・三次転送患者は17,157人(年平均660人)で,このうち三次(救命センター)への転送は513人(年平均39人)で,虚血性心疾患が212例(41.3%)と最も多かった。応急診療所内での死亡例は当初の13年間に64人(年平均5人),救命センター開設後は1例と減少した。応急診療所内での心肺停止7例は救命センターに搬入し,5例を救命,4例が社会復帰した。当救急医療センターは一次と三次からなるまれな形態であるが,両組織の連携は応急診療所での重症例への対応, トリアージの適正化など利点も多く,地域によつては選択肢となりうる救急医療センターの一形態である。