2017 年 17 巻 p. 34-46
本稿の目的は,被措置児童等虐待発生の状況とその要因を明らかにすることであった.公表された被措置児童等虐待の事例について二次分析を行い,養育者と子どもとのかかわりに着目してBerelson, B.の内容分析の手法で分析した.その結果,255の記録単位が分析の対象となり,最終的に17のカテゴリが抽出された.子どもに対して生活指導を行う場面,子どもの問題行動へ対応する場面,子どもを養育する中で生じる通常の営み,子どもと養育者の関係が近づきすぎる場面において,被措置児童等虐待が発生していることが確認された.その内容から,基本的な養育技術および子どもの反抗に際しての対応,養育者自身の内面に目を向けた養育技術の向上が必要であること,子どもとの適切な関係性を保つシステムの必要性が示唆された.今後は,背景の考察および労働環境との関連や組織風土など,個々の要因に焦点化した研究を進めていく必要がある.