子ども家庭福祉学
Online ISSN : 2758-2280
Print ISSN : 1347-183X
論 文
保育所1・2歳児クラスの食事場面における保育者の援助に関する一考察―子どもの人間関係の育ちに着目して―
土田 珠紀
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2017 年 17 巻 p. 47-61

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抄録

本研究は,保育所入所率増が顕著な1・2歳児の食事場面に注目し,保育者の援助のあり様を明らかにしようとするものである.

保育所1・2歳児クラスの食事場面における観察記録より,子どもが自ら食べることに向かう姿と,子どもが他児と関わる姿を抽出し,そこにみられる保育者の行為や言葉を質的に分析した.保育者は,子どもの食べることに直接援助を行うだけでなく,子どもが様々な事柄や他児のことに気づいたり関わりを持ったりすることに繋がる援助や,子どもが自分自身を主体と感じられるような援助,また,自分のことや周囲のことを理解するための援助を行っていた.子どもが食べることと他児や様々な事柄に関わること双方に総合的に働きかける保育者の援助は,1・2歳児の子どもにとっての食事場面が,生理的欲求を満たすだけでなく,人と関わる力の発達を促す場としての可能性も有していることが示唆された.

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© 2017 日本子ども家庭福祉学会
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