子ども家庭福祉学
Online ISSN : 2758-2280
Print ISSN : 1347-183X
論文
社会的養護における措置変更に関する実態調査―子どもの発達に伴う措置変更と子どもの行動上の困難さによる措置変更との比較からの考察―
野口 啓示石田 賀奈子伊藤 嘉余子
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2018 年 18 巻 p. 81-94

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抄録

本研究では,社会的養護を担う施設が措置変更の際にどのような支援や配慮を行っているのかについて明らかにすることを目的としてアンケート調査を実施した.

その結果,措置変更で退所する子どもに占める障害や被虐待経験のある子どもの多さとそれに起因する養育の困難さが示された.措置変更の際の配慮事項について探索的因子分析の結果,6つの因子が抽出された.これら6因子を用いて措置理由および施設種別間における措置変更時の配慮事項の差の有無について分析した結果,「発達に伴う措置変更」では「情報共有」「ならし」といった時間をかけた丁寧な配慮が実施されているのに対し,「行動上の問題による措置変更」ではそれらの配慮はできない傾向にあることが示された.また,乳児院では「生い立ちの整理」「ならし」の値が高く,児童自立支援施設では「一時保護」が高くなる等の施設種別ごとの特徴も明らかとなった.

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© 2018 日本子ども家庭福祉学会
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