2021 年 21 巻 p. 51-63
本研究は,保育室を再構成する前後における子どもの姿の変容とその過程における保育者の意識を分析することを通して,1歳児クラスの遊び場面での保育室の空間構成を行う上での共通認識を検討することを目的とする.その際,①担任保育者を対象としたインタビュー調査と,②遊び場面における子どもの動きの分析,この2つから方法から検討を行った.保育者のインタビューの結果からは,保育室の再構成は子どもの「遊び込み」を意図して行われ,再構成後の空間構成は仕切られた空間それぞれに遊びが想定されている「独立性の高い空間構成」であったと推察された.さらに,子どもの動きの分析から,「独立性の高い空間」では,子どもの滞在する時間が長くなることが明らかになった.このことから,1歳児クラスにおける「独立性の高い空間構成」は,「遊び込み」に有効であることを示唆された.