2021 年 21 巻 p. 37-50
本研究は,不登校傾向の子どもへの有効な支援に資する知見を得ることをねらいに,不登校傾向の子どもの特性と,社会生活の自立の関連性を明らかにすることを目的とした.質問紙調査は,A県において家庭訪問支援を受ける不登校傾向の子ども139名の支援者と保護者を対象とした.調査内容は,子どもの年齢,性別,障がいの種類と程度,社会生活の自立で構成した.統計解析では,欠損値を有さないデータを使用した.子どもの社会生活の自立測定尺度を開発し(支援者137データ,保護者73データ),「子どもの特性」と「子どもの社会生活の自立」に関するMIMICモデルのデータへの適合性と変数間の関連性を構造方程式モデリングで検討した.その結果,モデルのデータに対する適合度はCFI=0.956, RMSEA=0.074であり,特に発達障がいの程度と社会生活の自立の関連性が明らかとなった.社会生活の自立における潜在ランク数は3であった.考察では,社会生活の自立に向けた支援の方策を議論した.