抄録
児童の権利に関する条約の批准、小児看護領域の看護業務基準の作成などにより、小児医療の主体が小児とその家族であることが改めて確認された。そのことにより、小児の採血や腰椎穿刺などの侵聾的な処置への家族の付き添いの実態に、変化はあったのだろうか。その変化の有無を知るため、今回、私たちは全国の小児が入院する病棟を対象に調査し、10年前の調査結果と比較した。その結果、小児の採血や腰椎穿刺には、10年前と同様、大半の病棟で家族が付き添っていないことが明らかになった。一方、自由記載の中では病棟の看護管理者の多くは、医療の主体が小児と家族であることを明らかに表現していた。今後は小児が最善の状態で医療を受けるために、処置の際の家族の付き添いに関して、小児と家族が主体的に判断し、看護者はその決定を支えていけるよう、情報提供や環境整備などの支援をすることが必要である。