抄録
病気体験の研究は、看護の質を高める上で役立つことが知られている。本研究の目的は、思春期がん患者の病気体験とその思いを明らかにすることである。ここではがん患者6名に半構造化面接を実施し、帰納的・記述的方法を用いた。その結果、 6つのカテゴリー、すなわち、【病気によって一変した生活への困惑】【大人への依存】【退屈な生活の中で思う進路選択への不安】【友達から離れた孤独感】【支援してくれる友達と親への感謝】【困難を乗り越えたことの自信】が抽出された。患者は、病気体験の中でこれらの複雑な思いを抱きつつ、徐々に困難な状況を受け入れ、挫折感を克服し、辛い闘病中も成長していた。思春期にあるがん患者の看護では、意味ある病気体験とするために、彼らの複雑な思いを考慮する必要がある。