日本小児看護学会誌
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17 巻, 1 号
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  • 仁尾 かおり
    原稿種別: 本文
    2008 年17 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    先天性心疾患をもちキャリーオーバーする中学生・高校生の病気認知の構造および背景要因による差異を明らかにすることを目的とし、先行研究の結果より独自に作成した調査票を用いて調査を行った。因子分析の結果、病気認知は、『病気による制限・制約に対するつらい思い』『病気をもつ自分を前向きに受けとめようとする思い』『病気をもつ自分を理解してほしい思い』『病状や死に対する不安』『病気を知られたくない思い』『身体を守りたい思い』の6因子により構成されていた。背景要因では、重症度の高い人が、『病気による制限・制約に対するつらい思い』『病状や死に対する不安』が高く、『病気をもつ自分を理解してほしい思い』『身体を守りたい思い』では、重症度の高い人に加えて高校生が高得点であった。彼らの相反する認知による葛藤を理解し、肯定的な認知を高め、否定的な認知を低減する支援が必要であることが示唆され、具体的な支援を検討した。
  • 森 浩美, 嶋田 あすみ, 岡田 洋子
    原稿種別: 本文
    2008 年17 巻1 号 p. 9-15
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    病気体験の研究は、看護の質を高める上で役立つことが知られている。本研究の目的は、思春期がん患者の病気体験とその思いを明らかにすることである。ここではがん患者6名に半構造化面接を実施し、帰納的・記述的方法を用いた。その結果、 6つのカテゴリー、すなわち、【病気によって一変した生活への困惑】【大人への依存】【退屈な生活の中で思う進路選択への不安】【友達から離れた孤独感】【支援してくれる友達と親への感謝】【困難を乗り越えたことの自信】が抽出された。患者は、病気体験の中でこれらの複雑な思いを抱きつつ、徐々に困難な状況を受け入れ、挫折感を克服し、辛い闘病中も成長していた。思春期にあるがん患者の看護では、意味ある病気体験とするために、彼らの複雑な思いを考慮する必要がある。
  • 山口 智子, 楢木野 裕美
    原稿種別: 本文
    2008 年17 巻1 号 p. 16-22
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、幼児後期の子どもにおける内服のプレパレーションモデルを構築するために幼児後期の子どもにおける内服のプレパレーションに必要な項目を抽出することである。方法は、デルファイ法を用い4回の調査を行った。まず、第1回調査では文献検討を行い63項目の幼児後期の子どもにおける内服に必要な項目を抽出し、第2回目調査では質問紙郵送による調査を幼児後期の子どもに何らかのプレパレーションを行い、かつ内服薬を服用させたことがある看護師139名を対象に実施した。63項目について「非常に必要」から「全く必要ない」の5段階で必要性の評価を求め、必要だと思う項目を自由記載にて意見を求めた。第3、4回調査では、自由記載で得られた4項目を追加し、67項目に対する必要性の評価を求めた。調査ごとの結果を添付し、第2回調査同様の質問紙郵送調査を行い、第4回調査の回答を最終的なコンセンサスとした。最終的に同意率80%以上を示したのは内服のプレパレーション合計56項目であった。これらの項目が幼児後期の子どもにおける内服のプレパレーションに必要であることが明らかになった。
  • 半田 浩美, 二宮 啓子, 西平 倫子, 平井 重世
    原稿種別: 本文
    2008 年17 巻1 号 p. 23-30
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究は、心臓カテーテル検査を受ける3〜7歳の子ども10名に模型と人形を用い、子どものイメージを促す効果的なプレパレーションの方法とその効果を明らかにすることを目的とした。その結果、効果的な介入として【子どもと親の準備性をアセスメント】し、タイミングを見極めて【イメージづくりの導入】を行い、ごっこ遊びを通して子どものイメージを読み取りながら【イメージづくり】をし、【イメージの強化】で、模型を貸し出し検査のリハーサルを促していた。今回、介入開始から検査まで時間があり、検査前後に処置が実施されたため、「子どもが選択した人形のセッティング」、「同じ」、「見せる」、「置いておく」の視点から【検査前後の処置のたびに継続的にイメージを喚起する】ことが有効であった。更に、検査後、10名全員が穿刺した下肢を動かさなかった。
  • 濱中 喜代, 花澤 雪子
    原稿種別: 本文
    2008 年17 巻1 号 p. 31-37
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    小児看護領域における卒後教育・指導に関連した、受け手と指導者の認識を含めた現状と課題を明らかにする目的で、総合病院で小児看護に携わっている卒後1年目の新人看護師(以下新人とする)およびプリセプターへ質問紙調査を行い、新人92名とプリセプター102名のデータを得た。臨床と教育のギャップとして、新人の7割は時間の余裕のなさを感じ、半数は時間内に業務をこなすことを大変と感じていた。プリセプターは、新人は臨床に適応していく上でさまざまな困難に直面しているととらえており、それは小児看護領域であるがゆえの難しさであると感じているものが半数あった。新人、プリセプターともに同様な対象の先行研究に比べ、自己効力は低い結果であった。新人、プリセプター双方の成長段階に応じた支援を検討していくとともに、基礎教育と卒後教育の継続性の中で看護実践能力を高めていけるよう、教育現場と臨床現場が連携していくことが不可欠であることが示唆された。
  • 森藤 香奈子, 佐々木 規子, 井上 晶代, 山崎 真紀子, 宮原 春美, 宮下 弘子, 松本 正
    原稿種別: 本文
    2008 年17 巻1 号 p. 38-44
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    筆者らはヒトの遺伝学の本質である「唯一性」と「多様性」から命の大切さ学ぶこと目的に、2003年より遺伝公開講座を行ってきた。本研究の目的は、遺伝学習の前後で「遺伝」の概念がどのように変化するかを分析し、使用した子ども用達伝教育プログラムの評価を行うことである。第4回遺伝公開講座の参加者(子ども:小学校1年生〜高校2年生計20名、大人:20〜40才代計10名)のうち中学生1名、高校生1名を除外した28名を対象とし、単一自由連想調査を用いて分析した。その結果、「遺伝」から想起する言葉(以下:反応語)の数、種類が子ども、大人共に増加した。「唯一性」を表す反応語は両者で、「多様性」を表す反応語は大人のみ有意な増加があった。プログラム内で使用した「唯一性」「多様性」を表す言葉が個々人のとらえ方で表現されていた。また値が増加することが概念の広がりや深まりを示すエントロピー値は両者とも学習後に増加しており、本教育プログラムは広い年代において有効であるといえる。
  • 井上 寛隆, 霜田 敏子, 原嶋 朝子
    原稿種別: 本文
    2008 年17 巻1 号 p. 45-50
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究は、小児看護実習2年間のユーモアカンファレンスで取り上げられた場面から、援助内容(誰が、どのようにユーモアを活用したか)および、その効果と反応を検討し、ユーモアカンファレンスでの学生の学びを考察することを目的とした。ユーモア場面183件のうち、学生、教員、医療者が意図的にユーモアを発し、相手が嬉しそうな笑みを浮かべる、緊張が解ける、ほっとしたなどの効果や反応を捉えた場面「にっこり・ほっと場面」64件の検討から、以下のことがわかった。1.学生は小児看護実習における様々な援助場面で意図的にユーモアを活用していた。2.学生は、援助時の意図的なユーモアの活用や工夫により、子どもや家族の緊張緩和、処置や検査への意欲を引き出す効果を捉えていた。3.学生は、子どもや家族が笑うことで場が和み、互いの心理的距離が縮まったことに気付いていた。4.学生は、教員や医療者の意図的なユーモア活用にも気づいていた。5.カンファレンス中の笑いは、学生-指導者間の緊張緩和に繋がった。以上より、意図的にユーモアを活用した援助プロセスをカンファレンスで共有することは、学生の実践能力の向上の一助となる。
  • 平岩 洋美, 福嶋 友美, 大西 文子
    原稿種別: 本文
    2008 年17 巻1 号 p. 51-57
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、乳幼児の採血・注射における親の同席の現状と親の同席に対する看護師の認識の把握および親の同席に対して小児看護としてどのような取り組みがされているかを明らかにすることである。調査期間は平成17年8月3日〜9月7日。調査方法はA県内にある9施設の小児科に勤務している看護師226名に対し、自作の質問紙調査を実施した。結果は、(1)親の同席が必要であると考える看護師は約3割であった。(2)親が同席できる選択肢を持つ病棟は約7割であり、増加傾向にあった。(3)看護師は経験年数に関係なく、親の同席がない場合と比較し親の同席がある場合は精神的負担・緊張を多く感じていた(p<0・0001)。(4)親の同席への取り組みは看護師同志の意見交換が最も多かったが、看護師が役立つと考える取り組みは医師との意見交換・話し合いであった。
  • 松尾 美智子, 江本 リナ, 秋山 真里江, 飯村 直子, 西田 志穂, 筒井 真優美
    原稿種別: 本文
    2008 年17 巻1 号 p. 58-64
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究は、子どもが入院する病棟の看護師と保育士との連携に関する研究の動向を概観し、現状と課題を明らかにする目的で行われた。主に医学中央雑誌Web版を使用し、1995年1月から2006年3月までの日本国内文献を検索した。その中から、保育士の実際の活動内容や看護師との連携についての内容記述がある文献36件を抽出して分析した。その結果、[情報共有と活用]、[遊びの支援]、[日常生活の支援]、[家族との関わり]、[治療と検査に対する支援]などの場面で保育士が看護師と連携して活動している様子が、主に実践報告より明らかになった。連携における問題点としては、情報共有と活用の困難さ、職種の専門性について理解が不十分であることなどが明らかになった。看護師は保育士との連携についての認識が不足していたり、連携上の問題点に気づいていなかったりする可能性が考えられた。今後は、看護師を対象とした連携の捉え方についての調査や、看護師と保育士の双方を対象にした研究が必要であると考える。
  • 丸山 真紀子
    原稿種別: 本文
    2008 年17 巻1 号 p. 65-71
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    小児看護実習を経験した学生が捉える「入院中の子どもを尊重した関わり」を明らかにすることを目的に、A大学看護学部4年生9名に質問紙調査と面接調査を行った。その結果、学生が捉える「入院中の子どもを尊重した関わり」は、1)子ども自身が体験している、またはこれから体験することについて、子どもの意思を確認しながら説明すること、2)子どもの気持ちや立場に配慮すること、3)子どもの入院生活を整えることであった。また、さらに以下の点が明らかとなった。1)学生は、子どもを尊重した関わりについて考える際に、医療処置や検査の場面を多く挙げていた。2)学生は、子どもの気持ちへの配慮とともに、子どもの身体状態を考慮する必要性を認識していた。3)学生は、子どもの気持ちへの配慮とともに、子どもの安全および治療を確実に行うことを重視していた。そのため、子どもの気持ちに反して処置を行う場面で葛藤を生じやすいことが考えられた。4)学生は、関わりに対する子どもの反応に注目していた。しかし、子どもが年少の場合、子どもの反応の読み取りに困難を感じている場合があり、その判断をサポートしていく必要があると思われた。
  • 西野 郁子, 石川 紀子, 阿部 美夏子, 堂前 有香
    原稿種別: 本文
    2008 年17 巻1 号 p. 72-78
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    腸管機能不全により在宅静脈栄養(home parenteral nutrition,以下HPN)を必要とする子どもと家族の状況を把握し、看護援助における課題を明らかにすることを目的として、国内の看護論文の検討を行った。1987年から2007年まで(過去20年間)の期間で医学中央雑誌Web版、最新看護索引Web版などにより文献検索を行い、27の看護論文を検討の対象とした。検討の結果、以下のことが見出された。1.HPN導入時には個別の援助がされており、指導対象の中心は母親であった。2.食事については食欲低下や咀嚼・嚥下などの問題、排泄については夜間の排尿や下痢などの問題があり、健康児とは異なった困難な状況があった。3.子どものセルフケアは、学童後半以降になっても進められていない事例が多かった。4.看護援助における課題として、子ども・家族からの情報をさらに把握し、発達段階による問題の整理とセルフケアの目標も含めた援助の指標を整備していく必要がある。
  • 秋山 真里江, 江本 リナ, 松尾 美智子, 飯村 直子, 西田 志穂, 筒井 真優美
    原稿種別: 本文
    2008 年17 巻1 号 p. 79-85
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究は子どもが入院する病棟で活動する保育士の役割や現状を把握し、病棟で働く保育士の実態を明らかにすることを目的に、1995年1月〜2006年3月までの日本国内の文献から文献検索を行い、さらに2002〜2005年までの日本医療保育学会が発行する学会誌「医療と保育」の文献を追加し、文献検討を行った。その結果、子どもが入院する病棟で活動する保育士を導入している施設は1割強であること、名称についても様々であり統一されていないことが明らかになった。役割については保育士自身が考える役割と、看護師が考える保育士の役割とでは、共通する面だけではなく、処置や検査への援助については違いもみられた。また病棟で活動する保育士は思うような活動ができない、専門性を発揮したいと感じていることが明らかになった。
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