抄録
本研究は、思春期の胆道閉鎖症患児の(1)健康にかかわる情報の入手、及びセルフエスティーム、自己の健康のうけとめの特徴を健康児との比較により明らかにする、(2)健康にかかわる情報の入手とセルフエスティーム、自己の健康のうけとめとの関係を明らかにすることを目的に、外来通院中の小学5年生以上20歳未満の胆道閉鎖症患児、及び小学5年以上高校3年以下の児童・生徒を対象に質問紙調査を行った。患児24名及びペアマッチングにより抽出した健康児24名の回答の分析の結果、次のことが見出された。1)患児、健康児とも、入手されていた情報として最も多かったのは飲酒・喫煙、最も少なかったのは便秘、希望のあった情報として最も多かったのは食事及び体型、最も少なかったのは思春期の変化であった。2)医師を実際の情報源とする者、及び情報源として希望する者は健康児よりも患児に多かった。3)小学生患児のセルフエスティームは、中学生及び高校生と比べて高かった。4)健康の定義として11カテゴリーが抽出され、【みんなと同じであること】【好きなことができること】【入院・受診・療養行動の必要がないこと】は患児特有のカテゴリーであった。5)セルフエスティームが最も低い患児の健康の定義は【みんなと同じであること】であり、情報の入手の実態、希望とも平均未満であった。