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井上 扶美, 鎌田 佳奈美, 山中 久美子
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
1-8
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
斜視の手術を受ける幼児後期の子どもに対し、母親がどのようなかかわりを行っているのか、そのプロセスを明らかにするため、母親8名を対象として質的記述的研究を行った。その結果、8つのカテゴリーを抽出した。母親は診断時、【斜視が手術せずに治らないか模索】していた。その中で、【やはり手術した方がいい】と感じ、【何とかして子どもを手術に向かわせようとする】様子がみられた。術後、【子どもの様子を見守り寄り添い】、子どもの状態が落ち着くと【手術について振り返り】ながら、【再手術を懸念しながら子どもに日常の生活を歩ませようとする】というプロセスを経ていた。また、全プロセスを通して【斜視は病気だが重症ではない】という思いが母親の子どもへのかかわりに影響を及ぼし、さらに母親には【何とかして子どもを手術に向かわせようとする】中で、【私だけが子どもを支えているのではない】という思いが生まれていた。以上より、時期を得た手術や疾患に対する情報提供、母親の思いに寄り添い支えていく必要性が示唆された。
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園田 あや, 木内 妙子, 王 麗華
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
9-15
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
本研究は、幼児期の子どもを養育している16名の母親を対象とし、子どもが予防接種を受ける際に母親がどのような説明や声かけを行っているかの実態を明らかにすることを目的に行った。質的帰納的分析法を用いて分析をした結果、母親らは、場面に応じて《子どもへは説明しないという判断》、《目的地(病院)に連れて行くための声かけ》、《子どもを頑張らせるための声かけ》、《子どもの理解力に応じた説明》をしていることが明らかになった。母親がかけていることばの多くが、予防接種を無事に終えるための声かけであり、子どもに予防接種の必要性を説くことばや心理的な準備を促すようなことばは少数だった。《子どもの理解力に応じた説明》は4〜5歳の子どもに対して行われており、日々の子どもとの関わりの中で体験を通して、子どもへの説明の必要性を認識し、子どもが理解できる年齢を見極めていた。また、《子どもへは説明しないという判断》の背景要因として、子どもの年齢が小さいことに加え、母親自身の生育環境も関与していることがうかがえた。
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田中 千代, 奈良間 美保
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
16-23
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
本研究は、思春期の胆道閉鎖症患児の(1)健康にかかわる情報の入手、及びセルフエスティーム、自己の健康のうけとめの特徴を健康児との比較により明らかにする、(2)健康にかかわる情報の入手とセルフエスティーム、自己の健康のうけとめとの関係を明らかにすることを目的に、外来通院中の小学5年生以上20歳未満の胆道閉鎖症患児、及び小学5年以上高校3年以下の児童・生徒を対象に質問紙調査を行った。患児24名及びペアマッチングにより抽出した健康児24名の回答の分析の結果、次のことが見出された。1)患児、健康児とも、入手されていた情報として最も多かったのは飲酒・喫煙、最も少なかったのは便秘、希望のあった情報として最も多かったのは食事及び体型、最も少なかったのは思春期の変化であった。2)医師を実際の情報源とする者、及び情報源として希望する者は健康児よりも患児に多かった。3)小学生患児のセルフエスティームは、中学生及び高校生と比べて高かった。4)健康の定義として11カテゴリーが抽出され、【みんなと同じであること】【好きなことができること】【入院・受診・療養行動の必要がないこと】は患児特有のカテゴリーであった。5)セルフエスティームが最も低い患児の健康の定義は【みんなと同じであること】であり、情報の入手の実態、希望とも平均未満であった。
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伊藤 良子
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
24-30
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
入院児に付き添う家族の満足度と個人要因、入院環境要因との関連を明らかにすることを目的とし、先行研究を参考に独自に作成した調査票を用いて調査した。入院環境要因と家族満足度との関係では、家族満足度は、小児科病棟が混合病棟に比べ、プレイルーム設置の有りが無しに比べ、保育士・ボランティアの人員配置有りが無しに比べ、有意に高かった(各々p=0.001、p=0.038、p=0.017)。付き添い家族に対して、家族の休憩室や簡易ベッドの準備がなく、付き添い家族の食事が病院から出ていない現状であった。今後、少子化によって小児科病棟の縮小や閉鎖が促進され、混合病棟での小児の入院治療が増えることによって、入院児に付き添う家族の満足度はより低下することが予想される。しかし、保育士やボランティアの人員配置が適切になされ、また付き添い家族の休息や食事に対する配慮をさらに進めることによって満足度をあげる可能性が示唆された。
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倉田 節子
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
31-38
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
先行研究において、短期入院の子どもと家族への5つの看護ケアを明らかにし、それをもとに「短期入院の子どもと家族への看護ケア指針」(以後ケア指針)とその評価表を作成した。本研究は、このケア指針と評価表を使用した看護師5名に半構成的面接を行い、看護師の看護ケアの実践の過程における認識を明らかにすることで、ケア指針と評価表の意義を検討した。看護師の認識は、5つのカテゴリーに分けられた。看護師は、【ケア指針と評価表の存在感】によって【看護ケアの再確認】をし、自己の看護ケアが変化していることを認識していた。看護ケアの実践に関与しているのは【看護ケアの実践を支えるもの】と【短期入院の看護の特徴】であり、【看護ケア評価への影響】を受けて看護ケアの実践を評価していた。ケア指針と評価表は、短期入院の子どもと家族への看護に必要なポイントがわかるものとして意義が大きいことがわかり、新任看護師の教育への活用が示唆された。
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辻 佐恵子, 楢木野 裕美
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
39-44
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
看護職が虐待者である親にどのような態度でかかわっているかを明らかにすることを目的とし、看護職8名を対象に半構成的面接を実施し、質的帰納的研究方法を用いて分析した。その結果、【虐待看護に対する理念をもつ】【親を理解しようとする構えをもつ】【親へのかかわりに対する構えをもつ】【親との距離をとる】【親を気遣いながらかかわる】【親に対して複雑な感情を抱く】【医療従事者間で協働する】の7のカテゴリーが抽出された。看護職は、親に向うにあたり、【虐待看護に対する理念】をもっており、その理念は、【親を理解しようとする構え】と、【親へのかかわりに対する構え】を形成している。その構えをもちながら【親との距離をと】り、【親を気遣いながらかかわ】っているが、その中で親に非常に【複雑な感情を抱】き、【親との距離をと】り、【親を気遣いながらかかわる】。そのかかわりが、さらに【複雑な感情を抱く】ことに影響する、螺旋状の構造を呈した。
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伊藤 恵美, 熊坂 隆行, 大石 千里
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
45-50
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
入院中の幼児10名を対象に、福祉玩具とのふれあい効果について探った。対象幼児の普段の遊びの後と福祉玩具とふれあった後の効果をフェイス・スケールおよび行動観察によって評価した。結果、フェイス・スケール評価では、普段の遊びの後と福祉玩具とふれあった後、ともに「プラスの効果」が得られ、福祉玩具とふれあった後の方が、普段の遊びの後よりもプラスの効果が得られた。福祉玩具とふれあい中、幼児の行動で最も時間が長かった行動は、福祉玩具を「触る」という行動であり、また、普段の遊びに比べ、福祉玩具とふれあい時の方が笑顔表出回数が多かった。入院中の幼児は、母子分離や治療・処置等により、それまで経験したことのない環境におかれることで大変な苦痛を強いられ、さらに安静や隔離などが要因となり、大きなストレスを抱えることとなる。そのような幼児が福祉玩具とふれあうことで、安心し苦痛やストレスを解消させることができる一手法として活用できるのではないかと考えられた。
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吉田 美幸, 鈴木 敦子
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
51-58
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
多くの医療現場において、子どもの多くは不安を抱きながらも、安全基地である母親から引き離されて検査や処置を受けている。このような状況は、行為の調整が可能になり始める幼児後期の子どもから特に増えている。彼らも幼児前期までの子ども同様に、安全基地としての母親を必要としているが、加えて調整機能の支えとしての母親を必要としているはずである。そこで、本研究は、検査・処置を受ける幼児後期の子どもが、重要な他者である母親の関わりのあり方により、どのような影響を受けるのか、また、どのような関わりを彼らが必要としているのかを明らかにすることを目的とした。11名の幼児後期の子どもを対象に、検査・処置場面での子どもの様子、また母親が付き添えた場面では、母子の関わりを参加観察した。分析は、Colaizziの手法を用いて質的に行い、以下のカテゴリーを抽出した。母親が【子どもとの分離】をしている場合、子どもの不安・恐れは深まっていった。一方、【子どもへの付き添い】をしている場合、母親の子どもへの関わり方には、【自尊心を傷つける促し】をしている場面と、【気持ちの調整】をしながら【気持ちの共有】や【気持ちの橋渡し】を行っている場面が抽出された。前者の場合、子どもは不安・恐れ・拒否が増大し我慢を強いられていたが、後者の場合、子どもの不安・恐れ・拒否は軽減しており、さらに【気持ちの後押し】により、彼らは納得した我慢ができていた。これらのことから、幼児後期の子どもが納得して検査・処置を終えるためには、母親が傍にいて、その母親からの子どもの気持ちの共有者・代弁者としての関わりが必要であることが示唆された。
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山口 求, 今村 美幸, 松高 健司, 光盛 友美
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
59-64
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
乳幼児の皮膚は、角質層が薄く、バリア機能も低く皮膚表面は容易に傷つきやすく、雑菌などによる感染のリスク状態にあり、皮膚トラブルを起こしやすい。しかし看護系に乳幼児のスキンケアに関する先行研究はほとんど見られない。そこで、本研究(委託研究)は、乳幼児のスキンケアにてん菜砂糖に、精油・食用油でオイルコーティングしたシュガースクラブの保湿効果を検証することを目的とした。医師の皮膚テストにより安全性を確保し、入浴後に使用する実験群と、入浴のみの統制群とに分け22名の乳幼児を対象とした。指標にはモデラスを用いて水分値、弾力値、肌状態を入浴前と入浴30分、60分後に測定した。結果、水分値、肌状態は30分後が有意に上昇したが、60分後は低下傾向を示した。保湿効果の持続性は、今後の継続研究で検証する必要がある。視診・触診による肌状態の観察結果は、統制群の乳幼児に変化はなく、実験群では乾燥状態の皮膚がしっとりとし保湿効果が得られた。
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橋本 浩子, 谷 洋江
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
65-71
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
本研究の目的は、外来通院中の点滴・採血を受ける血液・腫瘍疾患の子どものストレスの状態とプレパレーションを通じて処置に対する理解や認知を知ること、通常のケア時とプレパレーション実施後における処置中の子どもの行動の違いを明らかにし、点滴や採血によるストレスを緩和する看護援助を検討することである。5組の子どもと保護者を対象とした。その結果、1.処置前は4名がストレスがある状態であり、処置前後のストレスレベルの変化については個別性があるが、処置後もストレスがある状態であった。2.プレパレーション時の子どもの反応から、子どもは経験した処置内容を正確に観察しているが、すべて理解できているわけではなかった。3.プレパレーション実施後の処置中の子どもの行動には、子どもの頑張ろうとする行動が観察された。繰り返し処置を受けている子どもに対して、プレパレーションを通してこれまでの経験を表現できるように援助を行うことは有用と考えられた。
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山本 典子, 兒玉 尚子
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
72-78
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
本研究では、胆道閉鎖症患児の母親に聞き取り調査を行い、母親が退院後に問題となったこととその対処方法を明らかにすることを目的とした。A病院外来受診中の胆道閉鎖症患児の母親6名に対して半構成的面接を行った。その結果、退院後に問題となったことは、【胆管炎を引き起こすかもしれない】、【疾患が進行していくのではないか】、【疾患を抱えながら成長・発達していけるのか】、【支援体制が不足している】という4つのカテゴリーで、母親の心配や不安が問題として挙げられた。その問題の対処方法は、【積極的な情報収集】、【感染予防対策】、【社会資源の活用】が明らかになった。母親が一番問題としている感染予防や異常の早期発見に重点をおいた生活指導を実施することが重要である。また母親が必要な情報を取捨選択できるような指導も必要である。さらに母親同士の交流は、共感し、支えあうことができる存在として重要であり、交流の場をつくっていくことが望まれる。
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兒玉 尚子, 納富 史恵, 藤丸 千尋
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
79-84
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
小児看護学において母親役の模擬患者(Simulated Patient:以下SP)を導入し、コミュニケーション技術演習を実施した。2006年度までの限られた学生のみのSPとの対応から、2007度は、学生全員のSP対応に変更した。今回の目的は、変更点を中心に、コミュニケーション技術演習の効果を検討することである。演習は2007年7月、3年生105名を対象として実施した。学生の評価表をデータとし、学生の感想から、コミュニケーション技術の学びを抽出した。抽出したデータを質的データとし、類似した意味をもつ内容をまとめ、分類し、カテゴリー化した。その結果、コミュニケーション技術演習に対して、学生は満足できていた。2分間という短い時間ではあるが、全員が演習を体験することで、【緊張する体験】、【一人ひとりが体験する学び】、【コミュニケーションの難しさの再確認】、【観ることでの学び】、【フィードバックによる気づき】という効果があり、【2分間の限界】、【実習への不安】、【場面設定の改善】の課題が示された。
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宮本 千史, 廣瀬 幸美
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
85-90
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
本研究は小児心臓手術に対する術中訪問の実施状況と導入の困難点について明らかにすることを目的に調査を実施した。調査期間は2006年12月〜2007年2月であり、対象は小児心臓手術を実施している135施設に勤務し、術中の子どもを待つ家族へのケアを主に担う看護部署の師長と、主な手術責任者である外科医の計270名である。調査内容は、術中訪問導入の有無とその理由、導入している場合は訪問時の提供情報、訪問実施後の現状等についてである。その結果、師長42名、外科医33名の計75名から回答が得られ、そのうち術中訪問を実施していたのは10名であった。師長・外科医の重複回答を考慮すると、全国で少なくとも6施設において術中訪問が実施されていることが明らかとなった。術中訪問の実施部署は手術室看護師が多く、訪問のタイミングとして手術修了予定時間超過時が多かった。また、術中訪問を導入していない場合でも38名中33名の師長は術中訪問を必要と回答していたが、その約半数が一般病棟の所属であり、手術室やICU勤務と比較して、看護者自身が術中情報を得にくい状況にあると推察された。
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永冨 宏明, 法橋 尚宏
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
91-97
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
本研究は、わが国の超低出生体重児の退院後の家族に着目して国内文献を検討し、子どもを支える家族におよぼす影響を明らかにし、有効な家族支援に対する示唆と今後の研究課題を見出すことを目的とした。医中誌Webで1983年から2007年までの原著論文を検索し、超低出生体重児の退院後の家族に関する28本の文献を検討した。筆頭著者の職種は、医師が15本で最も多かった。家族を「システムとしての家族」と捉えた文献は10本あったが、「社会の構成要素としての家族」と捉えた文献は3本であった。家族員・家族が受けた影響に関する文献は11本あり、不安を抱えていたと述べていた文献が8本で最も多かった。しかし、影響を受けた家族への退院後の支援に、家族が必ずしも満足していない現状が明らかになった。退院後に家族が受けた影響を軽減し、家族の満足が得られる家族支援の方法について、今後検討を深める必要性が示唆された。
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鍵小野 美和, 川出 富貴子, 臼井 徳子, 正木 佐知子
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
98-104
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
誕生25時間後に死の転帰をとった全前脳症の子どもや家族の何が人々を感動させ元気にさせるのか、周りに及ぼす力を明確にするという目的でグループインタビューを行った。周りに感動を与えた事象は【両親の言動】【両親の精神的側面】【子どもの反応】【医療者の対応】の4カテゴリーに、子どもが両親に残してくれたもの、子どもと両親が周りに残してくれたものは【認識】【感情・思い】【生き方へのフィードバック】の3カテゴリーに分類された。また、【両親の言動】の中での<生まれてきてくれてありがとう>の意味づけは、「胎内の子どもと共に過ごせた幸せ」、「生まれてくれたことへの感謝」などのサブカテゴリーに分類された。親の子どもへの無条件の愛が行動となり、そのことが周囲に与える感動を介して認知領域、情意領域、精神運動領域への何らかの影響を与えていることが示唆された。
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佐藤 加奈, 蝦名 美智子
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
105-111
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
目的:幼児が注射をされるときの経験を知ること。調査期間:2007年7月から約1ヶ月間。方法:大学生7人へ構成的質問11項目、主な内容は注射が好きか、覚えている注射の経験はどのようなことか、現在はどう思っているかである。得られた内容を質的に分析しカテゴリー化した。結果:幼児へ関わるときのよい関わりとして10項目が抽出された。主な内容は(1)注射の前に必ず注射の目的や痛みがあることを説明する、(2)安易に注射は「痛くない」「すぐ終わる」と言わない、(3)子どもが注射を受ける覚悟ができるまで待つ、(4)2人以上の看護師で子どもを取り囲まない、(5)馬乗りはやめる、(6)母親が付き添い母親が押さえると子どもが注射を「やらなければならないこと」と諦める、(7)処置後に子どもの頑張りを褒める、(8)ご褒美をもらうことで子どもは嫌なことを吹っ切る。考察:これらは特別な準備の必要がなく、明日からでも実行可能な内容であった。
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松尾 美智子, 筒井 真優美, 伊藤 孝子, 山内 朋子, 西村 実希子, 西田 志穗, 長谷川 孝音, 江本 リナ, 深谷 基裕, 中澤 ...
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
112-119
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
医学中央雑誌Web版とCINAHL Plus with Full Textを用いて1997年1月から2007年7月までの国内外の文献検索を行い、入院する子どもを取り巻く環境について内容記述がある文献70件を分析して現状と課題を検討した。その結果、入院する子どもを取り巻く環境には、[自尊心やプライバシーが傷つけられる環境]、[閉ざされた環境]、[不安軽減を図るための物的環境]、[不安軽減を図るための人的環境]、[病棟の規則]、[子どもを専門としない病棟の環境]、[病院から地域へ移行する過程の環境]があることが明らかになった。子どもにとっての入院生活環境は、日常生活では体験しない特殊な体験に満ちたものであるため、医療者の感覚とのギャップを認識して環境を整える必要がある。また、病院を退院し地域へ戻る過程までが環境に含まれるため、退院後の子どもの生活までを考慮して援助を行う必要がある。今後は、環境に関する現状把握だけではなく、ケア効果を明らかにした研究が必要である。
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中澤 淳子, 飯村 直子, 長谷川 孝音, 江本 リナ, 深谷 基裕, 西村 実希子, 西田 志穗, 山内 朋子, 筒井 真優美, 松尾 美 ...
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
120-126
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
1997年〜2007年までの医学中央雑誌Web版(Ver.4)を使用し、小児看護における家族のニーズとその援助に関して、病気を抱える子どもの家族に焦点をあて83件の文献の内容を分析し、現状を明らかにし今後の課題を検討した。その結果、研究では、退院後の生活指導や成長発達、育児や病気の受容へのサポート、また、家に残された家族へのサポートのニーズがあり、長期的で幅広い援助が必要であることが明らかにされていた。しかし、医療者からの積極的なかかわりや連携および、地域の他職種との協働による援助が効果的であったことが記述されていたのはほとんどが事例報告であった。今後は、外来と病棟で病気の子どもをもつ家族の情報を共有する方法や地域の他職種との協働を検討し、個々の家族の状況に合った援助をスムーズに行っていくことが課題である。そのためにも、外来と病棟との連携や地域の他職種との協働により家族へ行った援助の効果まで記述した研究が望まれる。
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山内 朋子, 筒井 真優美, 松尾 美智子, 伊藤 孝子, 西村 実希子, 西田 志穗, 長谷川 孝音, 江本 リナ, 深谷 基裕, 中澤 ...
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
127-134
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
本研究の目的は、小児看護領域で働く看護師の環境や状況が生み出す、子どもと家族の看護を阻むことにつながると考えられる看護師のストレスや感情を文献検討により明らかにすることである。医中誌WEBとCINAHL Plus with Full Textを用い、1997年〜2007年7月までの文献検索を行い、看護師の働く環境やストレス、感情に関する内容の記述がある国内外の文献を73件得た。(1)研究の動向を分析し、(2)小児看護領域の調査研究の結果から、子どもと家族への看護を阻むことにつながると考えられる看護師のストレスや感情に関する内容の記述193件を抽出し、環境や状況の類似性から6つに分類して分析を行った。看護師は、【子どもとの関わり】【家族との関わり】【職場の人間関係】【看護師のスキル】【職場環境や体制】【他職種との関わり】において様々なストレスやジレンマなどを抱いており、今後はストレスや感情を表出できるような精神的援助や、熟練看護師及び管理者の配置、他職種との協働のあり方の見直しなどを行い、サポート内容とその効果を明らかにすることが求められる。
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勝川 由美, 永田 真弓, 松田 葉子, 南雲 久美, 田中 義人
原稿種別: 本文
2009 年18 巻1 号 p.
135-141
発行日: 2009/03/20
公開日: 2017/03/27
ジャーナル
フリー
本研究は、栄養管理の観点から小児がんの子どもへの食事援助に関する国内の文献を分析し、援助の現状と今後の課題を明らかにするために文献検討を行った。キーワードは「小児がん」「抗がん剤」「小児」「食事」「栄養」「摂食」「嘔気」「嘔吐」「食欲不振」「口内炎」「下痢」「トータルケア」「QOL」「NST」「ターミナルケア」「外来」「IVH」「骨髄移植」とし、国内文献を医学中央雑誌(1983〜2006年)、および最新看護索引(1987〜2005年)を対象に検索した。その結果、TSFTやMUACなどを活用した栄養評価の必要性、今後小児固形腫瘍ケースでの経腸栄養法の看護ケアを明らかにする必要性、「ルームサービス」等の小児がん治療中の食事環境に対する看護援助の実際と課題を明らかにする必要性が示唆された。
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