2010 年 19 巻 3 号 p. 25-31
本研究は小児看護に関するケースを事例検討会に提供した看護師が、レビュー後に臨床へどのようにフィードバックしたのかを明らかにすることを目的とした。ケースを提供したことのある看護師5名に半構成的面接を行い、面接内容を質的に分析した。その結果、次の5つのテーマが抽出された。【看護師間で感情を共有できるように促す】【発達段階を考慮してケース提供者が子どもの生活にかかわり、子どもの言動と自分の実践を一緒に看護記録に残すことで、子どもが力を発揮できるようなかかわりを周囲に伝える】【病棟内で「仲間」や「味方」を増やしてから新たなケアをカンファレンスに提案して実践する】【他の専門職の捉えた子どもの様子を看護に活かせるように他職種とのネットワークを作り、子どもの様子について意見交換をする】【当たり前のように実践している日常生活援助の大切さを伝えるために、スタッフが実践できていることを言葉にして伝える】臨床へのフィードバックには組織文化を考慮した方略が必要であり、レビューのなかで組織文化に合わせたフィードバックの方法についても検討する必要性が示唆された。