抄録
小児の生体腎移植は、子どもと親が同時期に手術患者となる特別な環境を生じさせ、移植後も生涯にわたる治療が必要となる。そこで、子ども自身が、親の手術を理解し、主体的に移植に臨むことで、子どもと家族双方によりよい影響があると考え、小児の腎移植に携わる看護師、看護系大学教員、看護学部学生が協力してプレパレーションに取り組んだ。手術前のプレパレーションを目指して始めた取り組みは、2年以上にわたる活動を続ける中で、入院前から退院後までの継続したプレパレーションへと発展した。さらに、途中から児童精神科医や臨床心理士も参加し、チーム医療へと発展した。定期的に会議を実施し、他職種間で、一事例ごとに、プレパレーションの進め方の検討や、実施後の反応の評価を行った。これらの過程を通して、看護者のプレパレーションに対する理解が深まり、日々のケアの中に浸透した。さらに、活動に参加していない医療者の理解へと繋がった。