抄録
本研究の目的は、思春期患児と青年期患者のメンタリング関係に注目し、青年期1型糖尿病患者のメンタリング経験とメンタリングがもたらす青年期患者への効果を明らかにすることである。メンタリング関係の分析には、メンター及びメンタリング尺度得点の継時的な変化パターンの特徴を分析した。また、青年期患者が行ったメンタリング経験については、質的記述的分析を用いた。7名の青年期患者が行ったメンタリングには、積極的傾聴により思春期患児との関係性が発展したパターンと、関わり方に戸惑い関係性が途絶えたパターンの二つの局面がみられ、メンタリング開始後6か月以降も親密性を維持することは困難であった。しかし、関心を寄せ関わり続けることで、青年期患者は思春期患児の頑張りを自分の励みにし、メンターとしての責任感と役割を自覚していた。また、青年期患者自身が糖尿病と向き合うことを覚悟することで、新たな自分の可能性を発見していた。