日本小児看護学会誌
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子どもを亡くした遺族に対するケアの現状と課題
大久保 明子郷 更織
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2011 年 20 巻 3 号 p. 20-27

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抄録
本研究は、子どもを亡くした遺族へのケアの実態と看護師の認識から遺族ケアの課題を明らかにすることを目的とし、全国の小児専門病院及び小児病棟526施設に勤務する看護師を対象に質問紙調査を実施した。質問紙は131部回収され、回収率は24.9%、有効回答率100%であった。実施しているケアには、葬儀参列、知識や情報の提供、遺族会やサポートグループの紹介などがあったが、104施設(79.4%)の看護師が遺族ケアの充実が必要であると回答していた。実施上の問題として、<時間・場所・マンパワーが不足している><遺族ケアを行うための予算が確保できない><遺族ケアの必要性の認識が不十分である><心理的・身体的・時間的負担が大きい><遺族ケア能力のある人材が不足している><遺族ケアの具体的方法がシステム化されていない><ケースにより求められるケアが異なる><担当看護師の移動によりケアの継続がむずかしい><子どもが亡くなるケースが少ないため遺族ケアの実践意欲が続かない>の9カテゴリーが抽出された。対象者数や方法、実施費用などを考慮し、各施設の状況に応じた遺族ケアのあり方について検討していく必要があると考えられた。
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© 2011 一般社団法人 日本小児看護学会
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